51歳といえば、定年退職も見えてくる頃。
会社によっては、退職金を満額もらって転職することもできる年齢です。
退職金も貰えて転職もできるなんて、51歳での転職はいいことばっかりに思えます。
しかし、実際の転職活動についていえば、51歳での転職にはかなりの苦労が伴うと言えます。
この記事では、51歳での転職が実際どうなのか、転職事情や成功へのポイントをご紹介していきます。
51歳での転職で起きる3つのこと
51歳で転職した場合には、若い世代の転職とは違って、このようなことが起こりがちです。
- 年収がダウンしてしまう可能性が高い
- 人間関係を構築するのが難しい
- 訳ありの人と思われる
全て51歳の転職で起こることがらですが、特に3番目については、もっぱら50代の転職において起こると言えます。
ここから、この3つについて詳しく見ていきましょう。
年収がダウンしてしまう可能性が高い
51歳の転職で最も起こりがちなことは、年収がダウンしてしまうことです。
51歳の転職者は、転職前の会社では役職に就いていることも少なくありません。
加えて、新卒から同じ会社にずっと勤めていたとしたら、勤続年数はかなりのもの。
年功序列により勤続年数の分だけ上がった給料に、役職手当がついて相当な年収の人も多いでしょう。
しかし、転職するとなると、例え管理職採用での転職だったとしても、勤続1年目からやり直しです。
つまり、転職すれば年収はダウンすることになるのです。
年収については最低どのくらい必要かきちんと考えておきましょう。
人間関係を構築するのが難しい
51歳で転職した場合、急に上位の管理職として転職先に迎えられるのはまれなこと。
ほとんどが、中途採用の一般社員としてのスタートになります。
その際、一緒に働くことになる同僚や上司は高確率で自分よりかなり年下です。
若い同僚や上司たちと、良好な関係が築けないという転職者が数多くいるのです。
理由としては、プライドが邪魔をして上手く接することができないことが挙げられます。
転職先の同僚や上司には、年齢を気にせず敬意を払うことができるかどうかが重要です。
訳ありの人と思われる
51歳で転職する人は、世の中全体で見るとそこまで珍しくはないのですが、やはりまだまだ一般的ではありません。
前職を何らかの形で追われての転職と思われてしまいがちなのです。
どうして転職するのか明確な理由がないと、仕事ができなくてリストラされたんじゃないか、人間関係が上手く築けない人なんじゃないか、トラブルメーカーかもしれない、などの憶測を呼んでしまいます。
51歳の転職というのは、はっきりした理由がないと訳ありと言うレッテルを貼られてしまうのです。
これは、転職理由を明確にし、自分は問題のある人間ではないとしっかりアピールすることで回避が可能です。
50代での転職事情
一昔前まで、50代で転職する人はかなり珍しい部類でした。
それこそ、本当の訳ありの場合が多かったのです。
しかし、最近の転職市場において、50代の転職はこのような状況になっています。
- 50代で転職を希望する人は増加傾向である
- 50代の転職理由は人間関係よりも労働条件への不満
- 50代の転職は時間がかかることが多い
では、それぞれについて解説していきます。
50代で転職を希望する人は増加傾向である
最近の転職市場において、50代の転職者は増えています。
理由の1つが、早期退職を推進する会社が増えていることです。
50代で早期退職後に別の会社に転職しようとする人は少なくありません。
また、少子高齢化による定年延長と人手不足で50代でも応募できる求人情報がそこそこあるのも転職者が増えている要因の1つ。
どの企業でも定年退職の年齢が少しずつ引き上げられ、50代はまだまだ長く働ける世代と認識されるようになりました。
さらに、少子化により若い世代が減っていることで人手不足が生じ、上の世代でカバーしようと、50代も応募可能な求人を出す企業も増えています。
50代を経験豊富な即戦力として欲しがる会社も増えており、求人数も増加しているのです。
50代の転職理由は人間関係よりも労働条件への不満
50代の転職についてのある調査では、転職理由の第1位が賃金以外の労働条件への不満でした。
若いうちは給料がいいからと我慢できていたことが、50代になって辛抱たまらなくなるのです。
都心への通勤がつらい、夜勤が体力的に厳しい、諸手当が少ないなど、50代には年齢を重ねたからこその不満は色々です。
また、50代は親の介護を担う人が多くなってくる世代。
介護のために、休暇の取りやすい仕事や、勤務時間の自由度の高い仕事にうつりたいと考える人が多いのです。
50代の転職は時間がかかることが多い
50代の転職はかなり厳しく、長期化する人が多いです。
50代を採用しようという会社は増加してはいますが、実際に採用するとなると慎重になりがち。
理由としては、健康面やコミュニケーション面での心配が若い世代より大きいこと、定年が延長されたとはいえ定年まであまり時間がないこと、ある程度高い給与を支払わなければならないことが挙げられます。
このような状況なので、応募しても書類が通ることがほとんどなく、40~50社の求人情報に応募してやっと2~3社面接までたどり着けるのが50代の転職の実情。
中々選考に通過できない現実に加えて、多くの会社に応募するために情報収集や書類の作成などもそれだけ必要になってくるので、必然的に時間がたくさんかかるのです。
51歳でも厳しい転職を可能にする3つのコツ
51歳での転職の現実は厳しいものですが、不可能ではありません。
ポイントを抑えて選考に臨めば、成功への道が拓ける可能性もあります。
51歳の転職におけるコツはこちら。
- 中小企業を狙う
- 自分の得意な業種を狙う
- 面接対策は重点的に行う
当たり前ですが、若年層の転職とは抑えるべきところが違ってきます。
では、具体的に3つのコツをご紹介しましょう。
中小企業を狙う
大企業や有名企業の求人は認知度が高く、その分応募者も多い狭き門です。
その点、中小企業はそれほど求人を大きく宣伝しない会社が多いので、応募者も大企業ほど多くありません。
確率としては、選考に通る可能性が少し上がるのです。
また、従業員数が大きな会社より少ない分、自分の裁量で会社を動かすこともできるので、経験を重ねた51歳には最高の活躍の場になり得るのです。
ただ、応募する企業についてはしっかり情報収集しておかないと、入ってからのギャップが大きくても、次の転職は51歳よりもっと厳しくなってしまいます。
自分の得意な業種を狙う
51歳の転職者に会社が求めるものは、多くの業界経験に基づいたカンや知識、そして専門性の高さです。
ビジネスの現場に新しい風を吹かせてくれるような、影響力のある即戦力を期待されています。
51歳の転職を可能にするには、この期待に応える必要があります。
これは、前職と同じ業種でないとダメというわけではありません。
例えば、長年製造システムの開発に携わっていたのであれば、製造業での人材需要が考えられます。
自分のキャリアとじっくり向き合い、どういった業種が狙えるのか明確にすることが、51歳の転職には必要なのです。
面接対策は重点的に行う
51歳の転職者を面接する際、面接官は面接での印象をとても重要視しています。
面接での受け答えの内容そのものはもちろん、ビジネスマナーや言葉遣い、話すときの雰囲気などでも、評価が変わってくるのです。
51歳は、面接で聞かれた内容をスラスラと答えるだけでは不十分ということになります。
しかし、相手からどう見えているのかを自分一人で把握するのは至難の業。
模擬面接でフィードバックをしてもらい、相手により良い印象を与える面接ができるように、繰り返し練習することが大切です。
また、面接での経験やスキルのアピールは重要ですが、少し間違えると自慢話になってしまう危険があります。
効果的なアピール方法についても、模擬面接などで入念に対策を行う必要があるのです。
51歳の転職後に心がけておくべき3つのこと
51歳で転職できたとして、転職後のことも気になりますよね。
51歳が転職後に円満に過ごすために、心がけておくべきことはこの3つです。
- 年下上司でも低姿勢を忘れない
- 前職の悪口をあまり言わない
- 自分の考えをあまり言い過ぎない
このようなポイントをしっかり押さえていれば、転職先でも楽しくサラリーマンライフを謳歌できることでしょう。
気になるこの3つについて、ここから詳しく説明していきます。
年下上司でも低姿勢を忘れない
51歳という年齢を考えると、1番身近な上司は年下である場合が多いです。
特に親子ほどの年齢差があると、ついついタメ口をきいてしまったり、態度が大きくなってしまいがち。
しかし、年下であっても上司なので、自分が部下という事を忘れずに接することが大切です。
上司への態度は、自分と上司だけの問題ではなく、職場の雰囲気にも影響を及ぼします。
年下であったとしても、上司には常に低姿勢で接するように心がけましょう。
前職の悪口をあまり言わない
前職に不満があって転職したという51歳も多数いることでしょう。
もちろん、転職理由を聞かれて答える程度は、むしろ良好なコミュニケーションとして歓迎されます。
ですが、聞いてもいないのに前職の悪口や不満を言い過ぎると、周りの人にあまり良い印象を持たれません。
ともすると、「うちの会社の悪口もどこかで言っているんじゃないか?」という疑いを持たれてしまいます。
前職への不満や悪口は、転職先ではあまり出さないようにする心がけが大切です。
どうしても言いたいときは、転職先とは関係のない友人や家族に聞いてもらうようにしましょう。
自分の考えをあまり言い過ぎない
51歳は、その豊富な経験やスキルを買われて採用されています。
自分の持っているものを活かして、会社に貢献する姿勢は必要かつ求められていることでもあります。
しかし、実際のビジネスの現場において、経験やスキルを武器にいきなり何もかもに切り込んでいくと、同僚から敬遠されてしまいます。
言っていることは正しくても職場の理解が得られないと、むしろ悪い雰囲気を作ってしまうことになりかねません。
特に転職先で勤務し始めた頃は、求められてから自分の意見を言うくらいが、謙虚さが感じられてちょうど良いのです。
51歳は転職後、自分の考えを言い過ぎないように心がけることで、職場の同僚と良い関係を築いていくことができます。
51歳の転職は苦労するがコツを掴んで転職活動を行おう
51歳で転職しようとすると、様々な苦労があります。
転職活動を始めたけど書類さえ通らず、長期化して疲れてしまうなんてことも多々あるのです。
せっかく転職できても年収が半分以下になってしまうことも。
そんな51歳の転職でも、成功に導くことはできます。
自分に有利な業種でライバルの少ない中小企業を狙えば、勝算はあるのです。
面接でキャリアだけではなく、人柄や仕事への意欲を効果的にアピールできれば、51歳での転職も決して不可能ではないのです。
