契約社員とは、雇用期間が定まっている社員(有期雇用)のことを言います。
企業によっては契約社員のことを、嘱託社員、非常勤社員、準社員と呼ぶことがあります。
会社に縛られることのなく、正社員として働くよりも勤務時間に融通が効くので、一見、メリットは大きいように見えますが、安定性を求める人にとってはメリットばかりではないようです。
また、会社によって労働条件は変わるので、想像していた労働環境とは違ったというケースも少なくはありません。
これから転職を考えている人にとって、正社員と契約社員はどちらがいいのか、悩むことがあると思います。
そこで本記事では、契約社員のメリットとデメリットと、契約社員への転職が向いている人について説明していきます。
転職で契約社員にはならない方が良い?
正社員は、社員としての責任があるため、場合によっては、転勤や異動、残業や休日に出勤をしないといけないことがあります。
では、ワークバランスが取れる契約社員の方がいいのか?
実は、契約社員は契約内容によっては不利になることがあるので、どちらが良いとは一概に言えません。
もし、「趣味や副業の時間が欲しい」「契約社員として数年経験を積んで、転職したい」という考えであれば、契約社員の方が向いていますが、仕事の内容が社員と同じなのに待遇(給与や福利厚生)に違いが出てしまい、不満に思うことがあります。
そのため、働き方を選ぶ際は目的に合わせて選ぶことが大切です。
失敗しないよう、正社員と契約社員の違いと、それぞれどう言ったメリットとデメリットがあるのかをしっかりしましょう。
転職で契約社員にはならない方が良い5つの理由
契約社員にはならない方がいいのか?
まずは、契約社員にならない方が良い理由を6つご紹介します。
- 常に契約更新打ち切りのリスクのため安定性がない
- 5年ルールにより転職を繰り返さなければならない
- 正社員との報酬格差・ボーナスがない
- 退職金はほとんど出ない
- 責任のある職務につけない・権限が少ない
一つずつ詳しく見ていきましょう。
常に契約更新打ち切りのリスクのため安定性がない
契約社員の雇用期間は労働基準法の第14条により、「原則として3年」と定められています。
そのため、遅刻や欠勤が多かったり、能力不足で仕事が終わらないことが頻繁にあったりすると、更新が打ち切りになることがあります。(ちなみに、更新打ち切りのことを「雇い止め」とも言います。)
正社員の場合は、雇用期間に定めがないので、よほどの理由がない限り、会社からクビにされることはなく、その地位はある程度は保証されます。
つまり、雇用が安定する正社員に対し、契約社員は、会社が雇用の継続をしない限り、更新までしか働くことができないデメリットがあります。
5年ルールにより転職を繰り返さなければならない
2013年4月から改正された「有期契約労働者の無期転換ルール」により、雇用契約が通算5年を超えたときは、無期労働契約に変えることが可能になりました。(有期契約労働者は、契約社員やアルバイト、派遣社員などが該当します。)
しかし、会社が無期転換前に雇い止めをして、雇用契約を更新しないこともあるので、5年で転職を繰り返さなければいけなくなってしまいます。
そのため、「有期雇用であっても構わないから、これまで通り契約を更新して雇ってもらう方が良かった」という人にとって、無期雇用ルールへ改正されたことは、5年以上雇えなくなるというデメリットになってしまいました。
また、転換をして正社員になれるのではなく、契約期間が無期に変わった非正規雇用になるので、待遇が変わらないまま働くことになり、不利になってしまいます。
正社員との報酬格差・ボーナスがない
正社員は、基本給に通勤手当や住居手当などの各種手当が上乗せされた分が、給料になります。
一方で契約社員は、時給(働いた時間)や日給(日数)、月給など企業によって給与の換算方法は大きく異なるので、多く働いた分、稼ぐことができます。
しかし、正月休みなどの長期休みがある月には働いた時間や日数は少なくなるので、正社員よりも給与は低くなってしまいます。
また、契約社員にボーナスをがあるかどうかは会社次第になりますが、比較的、ボーナス無しという会社が多いです。
そのため、年収として考えると、正社員と契約社員には大きな差があることになります。
退職金はほとんど出ない
従業員に退職金を支払うというのは、あくまで福利厚生のひとつであり、退職金の設置や支払いについては、法律で定められていません。
つまり、フルタイムで働く正社員と違って、契約社員は勤務時間が短いため、退職金がもらえるケースは少ないです。
また、もらえるとしても勤続年数に対して給与が異なるので、非常に少ない金額になります。
同一労働同一賃金により、正社員と契約社員との間で業務内容が同じである場合は、退職金の不支給は不合理な差別であると判断し、支払いを認めることはありますが、3年以上働かない場合は退職金をもらえないようになっています。
退職金がもらえるか気になる場合は、雇用契約書に退職金の有無についての記載があるので、入社時に確認することが大切です。
責任のある職務につけない・権限が少ない
契約社員は、正社員ほどの責任を負うこともなく、限られた範囲の業務を遂行します。
つまり、正社員のように役職がついて部下をまとめるような立場になることはなく、アシスタントのような業務内容になることが多いです。
また、正社員の場合は、主任→係長→課長→部長→役員のように、昇進や昇格をすることがありますが、契約社員の場合は、一定程度にまでしか昇進や昇格はできません。
そのため、契約社員は、専門性の高い領域で働くことができず、スキルアップできなかったと感じる人が多いようです。
正社員と契約社員の7つの違いを比較表でチェック
正社員と契約社員の働き方や待遇には、どのようにな違いがあるのか?
次の比較表を見ていきましょう。
正社員 | 契約社員 | |
雇用主 | 直接雇用 | 直接雇用 |
報酬・給与 | 安定した収入 | 収入面は不安定 |
業務内容 | 配属先によって異なる | 事前に決められている |
就業時間・休日 | 自由度は少ない | 勤務時間に融通が効く |
福利厚生・社会保険 | 無or範囲は狭い | 有 |
雇用期間 | 長期契約 | 有期契約 |
人間関係 | 固定 | 流動的 |
契約社員と正社員は、どちらも勤務先の企業に直接雇用され、給与も雇用主である勤務先企業から支払われます。
契約社員の収入は働いた分なので、休暇を取る際は、有給がない限り収入は0になってしまいます。
反対に正社員は、契約社員よりも給与が高く、有給休暇の日数が多いので 収入が安定しやすいです。
正社員は、配属部署の業務全てを請け負えますが、契約社員は業務内容が契約書にしっかりと記載されています。
契約社員は、自由な時間を確保しやすく、定時で帰りやすいですが、正社員は、残業や休日出勤があるため、勤務時間の自由度は少ないです。
正社員と契約社員は、福利厚生で受けられるサービスに大きな差があります。
契約社員は利用できる福利厚生の範囲は、正社員よりも狭いことが多いようです。
正社員は無期雇用契約に対し、契約社員は有期雇用契約になり、1回の契約期間は長くても3年間になります。
契約社員は人間関係は固定しないので、正社員のように常に同じ人と長年働くということはありません。
それぞれにメリットとデメリットがあるので、自分のキャリアプランやライフスタイルを明確にし、それに合った働き方を選ぶことが大切です。
契約社員への転職が向いている人
契約社員にはどういった人が向いているのか?
ここでは、契約社員への転職が向いている人を4つご紹介します。
- 様々な職場で経験を積みたい人
- 副業を持っている人
- 休みや就業時間を自由に選びたい人
- 人間関係が円滑で、働きやすい職場で働きたい人
一つずつ詳しく見ていきましょう。
様々な職場で経験を積みたい人
未経験の状態で大手企業へ就職するのは難しいので、社会経験やキャリアをしっかり積んでから挑戦したいことがあると思います。
そこでもし、正社員で経験を積もうとすると、無期雇用で契約をするため、長く働かないといけないというプレッシャーがかかってしまい、なかなか辞めることができない状態へ陥ってしまいます。
しかし、契約社員は、短期間で働くことができるので、さまざまな職場で働いてキャリアを積みたい人にはおすすめです。
契約社員の募集は、未経験者歓迎の求人が多いため、経験を積みたい人にはしっかり教えてくれる環境が整っている企業がほとんどです。
ただ注意点として、書類選考時の志望動機や面接の受け答えで、「キャリアを積みたい」や、「勉強したい」などといった自己成長を目的をした理由は控えましょう。
企業は勉強させるために人を雇うことはありませんので注意が必要です。
また、さまざまな職場で経験したいからといって、中途半端な経歴にすると転職のイメージダウンになってしまうので、契約社員であってもなるべく長く続けたほうが将来的に有利になります。
副業を持っている人
副業は、収入源を増やせるでだけではなく、本業だけでは得られないスキルや経験を習得したり、キャリアアップに繋げたりすることができます。
また、本業で生活を支えられる分の収入があることで、起業や転職に向けての準備としてすることもできます。
既に副業を持っている人にとっては、副業に支障が出てしまわないよう、副業が許される環境と取り組む時間に余裕がある働き方を選びたいところです。
正社員で働くと、副業がバレて個人の信用をなくしてしまったり、残業による過労で疲労してしまい、副業に支障が出てしまう心配があります。
そこで、副業と並行するのにおすすめできるのが契約社員です。
契約社員は、自由な就業スタイルで働くことができるので、副業に当てる時間に余裕もあり、副業OKな場所も多いため、バレることを心配をすることもありません。
副業をしながらできる働き方として契約社員はおすすめできます。
休みや就業時間を自由に選びたい人
契約社員のメリットは、有給が取得しやすいところです。
正社員の場合は、人手不足な時や繁忙期で忙しい時に有給を取ろうとすると、「無責任だ」と言われたり、「忙しいから今は取れない」と拒否されてしまうことがあります。
そのため、有給を取りたくても融通が効かないのが正社員で働くデメリットになります。
特に、子供のお世話をしながら働く主婦さんにとっては、子供と時間を共有したい時でも休暇が取れないことはデメリットが大きいと思います。
また、突然の休日出勤が頻繁にある会社に就いてしまったら、プライベートを充実させることもなかなかできないと思います。
しかし、契約社員の場合は、契約時に決められているので、正社員のように時間に制限されることはありません。
契約社員は、自由な勤務スタイルで働きたい人や仕事とプライベートをはっきり分けたい人にはおすすめの働き方です。
人間関係が円滑で、働きやすい職場で働きたい人
長く働くことができない理由としてよく上がってくるのは、人間関係のストレスです。
正社員の場合、人間関係が固定されてしまうので、もし相性が悪い人と同じ部署で働くことになったら、毎日、その人と仕事をしないといけなくなるため、精神的に辛くなってしまいます。
また、業務に対する責任が重いので、部下のミスの責任を背負わされたり、納期まで終わらない時には、上司から圧力をかけられたり、せっかく就職したのに辞めたい気持ちが強くなってしまいます。
しかし、契約社員の場合は、人間関係が流動的で気楽に仕事ができるので、人間関係に苦痛に感じることなく、長く働きやすいメリットがあります。
また、さまざまな人と仕事をすることで、新しいことを学ぶきっかけになったり、コミュニケーション能力アップに繋がったりもします。
「うまく人付き合いができるか不安」という方にとって、契約社員はおすすめです。
契約社員への転職は慎重に
就職をする前に、正社員と契約社員のメリットやデメリットを理解して置くことは、自分に合った働き方を見つける上で非常に大切なことです。
契約社員として働いている人の中で、正社員の仕事内容や勤務時間変わらないぐらいが働いているのに、何故か待遇に大きく差があるといった問題が多くありましたが、時代と共に、労働基準法や労働契約法は改善されているので働きやすくなっています。
就職する前に、正社員で就くのがいいのか、契約社員で就くのがいいのか、悩んだ時には、是非本記事を参考してください。
